世紀の対決と言われたJCを勝ちG1タイトルを9に伸ばしてターフを去ることとなったアーモンドアイ。
12月19日に中山競馬場で引退式をして繁殖に入る。
この馬については様々なメディアで語り尽くされており、特に言うことはないがJCの余韻とともに少しだけ書いてみたいと思う。
アーモンドアイが競馬ファンに注目されだしたのはシンザン記念を勝ったあたりだが、本格的にスターホース候補となったのは桜花賞か。
ここまでは追い込みに近い差し馬だった。
オークスあたりから好位差しのスタイルに変わっていき、安定感とともにタイトルと人気を獲得していった。
牝馬三冠を制したあたりではジェンティルドンナやウオッカのような女傑と並び称されるようになり、JCのスーパーレコードで現役最強馬となった。
古馬となりドバイターフを危なげなく勝ったが、安田記念ではスタート後に不利を受けインディチャンプに敗れた。
負けて強しと言われ次走の天皇賞秋を豪華メンバー相手に圧勝し改めて強さを証明。
この天皇賞秋のメンバーはダノンプレミアム、サートゥルナーリアなど当時の有力馬はほとんど出てきていた。
唯一出てきていなかったのがこの年の年度代表馬となるリスグラシューだった。
天皇賞秋の次走とされた香港カップを熱発で回避し
、有馬記念に舵を切ると待ち構えていたのは引退レースとなったリスグラシュー。
適性かコンディションか、リスグラシューとの勝負以前の8着。
キャリア唯一の大敗はこれだった。
そう考えると恐ろしく安定した馬だったのがわかる。
レース後熱中症でフラつくほどの懸命さがその安定感の源だったか。だから愛された馬だったのかもしれない。
ラストイヤーも波瀾万丈だった。
連覇を狙ったドバイが直前で中止。
とんぼ返りとなったが、帰国初戦ヴィクトリアマイルを持ったまま楽勝。
続く安田記念は反動かマイルの流れに乗れなかったか二着。
これに関してはグランアレグリアのその後のパフォーマンスを見れば納得がいく。
再び得意条件となった天皇賞秋は勝ったが、前年よりかなりの辛勝。
衰えが懸念されたが、ラストランとなった三冠馬三頭の歴史的一戦を制した。
その強さはG1タイトル9勝が示すように、海外からも賞賛された。
東京コースやマイルを使うことが多いことからオールドファンなどからは批判もあったようだが、ルドルフの壁と呼ばれたG1レース7勝を超えたことで結果で抑え込んだ。
愛らしい名前と、その名のとおり綺麗な瞳でファンも多かった。
正真正銘の歴史的名馬だろう。
個人的にはこの馬は好きにはなれない。
父がロードカナロアでこの馬も好きになれない馬だった。
それでもこの馬の偉大さはわかる。
名牝。
その枠も超えた歴史的名馬。
期待された凱旋門賞行きは叶わなかったが、この馬なら勝ってもおかしくないなと思わせる馬だった。
史上最強馬論争はそれぞれの思い入れや定義があり、永遠に答えは出ない。
実際にアーモンドアイはグランアレグリアやリスグラシューに敗れており、タフな馬場も向かなかったかもしれない。
それでもこの馬の天皇賞秋やジャパンカップのパフォーマンスは否定しようがない。
史上最強馬論争に加わるに値する馬なのは間違いないだろう。
今でもこの馬は好きになれない。
個人的には史上最強馬はディープインパクトで最強牝馬はリスグラシューだ。
しかしこの馬の強さと偉大な功績を否定するつもりなんか生まれない。
それほどの走りだった。